「一二点」について。 - 返り点に対する「括弧」の用法について提案

「一二点」について。

― 「11月26日の記事」を書き換へます。―
(01)
① 1 2 3 4 5 6 7 8 9
② Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ
③ 一 二 三 四 五 六 七 八 九
は、「数字(アラビア・ローマ・漢)」であって、
①=②=③ である。
然るに、
(02)
① 9 8 6 3 2 1 5 4 7 =
① 9〈8{6[3〔2(1)〕5(4)]7}〉
に於いて、
① 2( )⇒( )1
① 3〔 〕⇒〔 〕3
① 5( )⇒( )5
① 6[ ]⇒[ ]6
① 8{ }⇒{ }8
① 9〈 〉⇒〈 〉9
とするならば、
① 〈{[〔(1)2〕3(4)5]67}8〉9 =
① 1 2 3 4 5 6 7 8 9
加へて、
(03)
② 三 二 Ⅲ 3 2 1 Ⅱ Ⅰ 一 =
② 三〈二{Ⅲ[3〔2(1)〕Ⅱ(Ⅰ)]一}〉
に於いて、
② 2( )⇒( )1
② 3〔 〕⇒〔 〕3
② Ⅱ( )⇒( )Ⅱ
② Ⅲ[ ]⇒[ ]Ⅲ
② 二{ }⇒{ }一
② 三〈 〉⇒〈 〉三
とするならば、
② 〈{[〔(1)2〕3(Ⅰ)Ⅱ]Ⅲ一}二〉三 =
② 1 2 3 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 一 二 三
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 9 8 6 3 2 1 5 4 7
といふ「順番」と、
② 三 二 Ⅲ 3 2 1 Ⅱ Ⅰ 一 は、
といふ「順番」は、
① 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ( ) ] } 〉
② 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ( ) ] } 〉
を介して、「等しい」。
然るに、
(05)
① 1 2 3
② Ⅰ Ⅱ Ⅲ
③ 一 二 三
といふ「数字(返り点)」は、
① 一 二 三
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙
といふ「返り点(数字)」に、「置き換へ」ることが、出来る。
従って、
(01)(04)(05)により、
(06)
③ 九 八 六 三 二 一 五 四 七
といふ「順番」と、
④ 丙 乙 下 三 二 一 中 上 甲
といふ「順番」は、
③ 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ( ) ] } 〉
④ 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ( ) ] } 〉
を介して、「等しい」。
然るに、
(07)
④ 三 ← 二 ← 一
④ 下 ← 中 ← 上
④ 丙 ← 乙 ← 甲
は、三つとも、「右から左へ、返ってゐる」。
従って、
(08)
「縦書き」であれば、
④ 丙 乙 下 三 二 一 中 上 甲
に於いて、
④ 三 ← 二 ← 一
④ 下 ← 中 ← 上
④ 丙 ← 乙 ← 甲
は、三つとも、「下から上へ、返ってゐる」。
然るに、
(09)
③ 三 ← 二 ← 一
③ 三 → 四
③ 五 ← 四
③ 六 → 七
③ 九 ← 八 ← 七
の場合は、
③ 三 ← 二 ← 一
③ 五 ← 四
③ 九 ← 八 ← 七
に於いて、「右から左へ、返ってゐて」、
③ 三 → 四
③ 六 → 七
に於いて、「左から右へ、返ってゐる」。
従って、
(09)により、
(10)
「縦書き」であれば、
③ 九 八 六 三 二 一 五 四 七
は、「下から上に返ったり、上から下に返ってゐて」、
④ 丙 乙 下 三 二 一 中 上 甲
は、「下から上に返ってゐる」。
然るに、
(11)
① 一 二 三
② 一 二 三
③ 一 二 三
とするならば、
③ 三 二 三 三 二 一 二 一 一
となって、
③ 九 八 六 三 二 一 五 四 七
といふ「順番」を表すことが、出来ない。
然るに、
(12)
④「下から上に返ってゐる」の方が、
③「下から上に返ったり、上から下に返ってゐる」よりも、「読みにくい」はずがない。
従って、
(08)(10)(12)により、
(13)
① 一 二 三 
② 四 五 六
③ 七 八 九
よりも、
① 一 二 三
② 上 中 下
③ 甲 乙 丙
の方が、「読みやすく」、
(14)
このことは、
① 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ( ) ] } 〉
の方が、
① ( ( ( ( ( ) ) ( ) ) ) )
よりも「読みやすい」ことに、似てゐる。
従って、
(15)
一二点は無限にあるから、どんなに複雑な構文が出現しても対応できる。実際、一二点しか施していないものも過去にはあった(ブログ:困窮庵日乗)。としても、
一二点だけでは、「読みにくい」が故に、今はない。
然るに、
(16)
⑤ 1 14 13 2 11 3 7 4 6 5 8 10 9 12=
⑤ 1 14〈13{2 11[3 7〔4 6(5)〕8 10(9)]12}〉⇒
⑤ 1〈{2[3〔4(5)6〕7 8(9)10]11 12}13〉14=
⑤ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
従って、
(04)(06)(16)により、
(17)
① 9 8 6 3 2 1 5 4 7
に対して、「返り点」を付けよといふ「問題」は、
⑤ 1 14 13 2 11 3 7 4 6 5 8 10 9 12
に対して、「返り点」を付けよといふ「問題」に、等しい。
cf.
9丙8乙  
従って、
(04)(06)(17)により、
(18)
「レ点」がなければ、
⑤ 1 14 13 2 11 3 7 4 6 5 8 10 9 12
に付く「返り点」は、
⑤ 丙 乙 下 三 二 一 中 上 甲
である。
(19)
「レ点」を用ゐれば、
⑤ 1 14 13 2 11 3 7 4 6 5 8 10 9 12
に付く「返り点」は、
⑤ レ 乙 下 二 一レ 上レ 甲
である。
従って、
(20)
① レ
② 一 二 三 四 五 六 七 八 九 ・ ・ ・ ・ ・ ・
③ 上 中 下
④ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬
⑤ 天 地 人
の「代はり」に、
① 1 2 3 4 5 6 7 8 9
② Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ
③ 一 二 三 四 五 六 七 八 九
④ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬
を「返り点」とすることが、出来る。
然るに、
(21)
① 1 2 3 4 5 6 7 8 9
② Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ
③ 一 二 三 四 五 六 七 八 九
④ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬
は、それぞれが、「数字」であるが、
① ② ③ ④
も、「数字」である。
従って、
(21)により、
(22)
① 1 2 3 4 5 6 7 8 9
② Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ
③ 一 二 三 四 五 六 七 八 九
④ 甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬
は、「数字の中」に、「数字」が入ってゐる。
然るに、
(23)
こういうロシアの入れ子人形のような性質を、コンピューター科学や言語学、心理学、哲学などではリカージョンと呼ぶ(ピダハン、317頁)。
ピダハン
従って、
(20)(22)(23)により、
(24)
「返り点」は、「リカージョン」であると、思はれる。
然るに、
(25)
① 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ( ) ] } 〉
① ( ( ( ( ( ) ) ( ) ) ) )
は、「入れ子」である。
従って、
(23)(25)により、
(26)
「括弧」も、「リカージョン」であると、思はれる。

― 話は変はって、―
(27)
本書は曩に世に公にした『国文解釋法』の姉妹編であつて、やはり諸官立學校の入學受驗準備を主要な目的として書いた本である。― 中略 ― あらゆる既知未知の問題 ― それもあまり高尚難澁でない問題に對して、白文に句讀訓點を施し、且つその文の大意が間違ひなく取れるだけの力がつけば、諸君の漢文受驗に對する豫備は十中八九は既に成つたものである(塚本哲三、漢文解釋法、1917年(大正六年)、緒言)。
従って、
(27)により、
(28)
100年前の(国公立校の)受験生は、例へば、
蓋我朝 
といふ「白文(同書、37頁、日本外史)」を、
(29)
蓋我朝之初建(國)也。政體簡易文武一途。擧(海内)皆兵。而天子爲(之元帥)。大臣大連爲(之褊裨)。未〔嘗別置(將帥を)置〕不也。豈復有所謂(武門武士者)哉。故天下無(事)則已。有(事)則天子必親(征伐之勞)、否則皇子皇后代(之)。不〔敢委(之臣下)〕也。是以大權在(上)。能征服(海内)施及(三韓肅愼)無〔不(来王)〕也⇒
(30)
蓋し我が朝の初めて(國を)建つるや、政體簡易文武一途、(海内を)擧げて皆兵たり。而して天子(之が元帥)爲り。大臣大連(之が褊裨)爲り。未だ〔嘗て別に(將帥を)置か〕不るなり。豈に復た所謂(武門武士といふ者)有らんや。故に天下(事)無ければ則ち已む。(事)有れば則ち天子必ず(征伐の勞を)親らし、否ざれば則ち皇子皇后(之に)代り、〔敢へて(之を臣下に)委ね〕不るなり。是を以て大權(上に)在り。能く(海内を)征服し施て(三韓肅愼に)及び〔(来王せ)不る〕無きなり。
といふ風に読めた、ことになる。
cf.
今の日本の中学・高校では英語・数学・国語を主要3教科と呼んでいますが、戦前、旧制の中学では英語・数学・国語・漢文が主要4教科でした。漢文は国語とは独立した教科だったんですね。読解はもとより、復文(書き下し文から原文を復元)や作文もやるし、これだけ高度な学習内容でしたから、白文の読解もなんのそのでした。しかし戦後、漢文は国語の一部である古典分野の、そのまた片隅に追いやられてしまいました。漢文の得意な教師は少なく、漢文に興味を持つ生徒も少なく、おまけに最近は大学入試科目から漢文が消えつつあるので、みんないやいやながら学んでいます。内容もたいしたことはなく、学者先生が返り点と送り仮名をつけた文章をえっちらおっちら読む程度です(Webサイト:漢文入門)。
平成27年11月27日、毛利太。
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写真は蛍雪時代(高三)。この頃に、漢文が好きになりました。

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