白文(平成28年センター試験)。 - 返り点に対する「括弧」の用法について提案

白文(平成28年センター試験)。

(01)
問4 傍線部A「哀其身不能一日事乎母也」の返り点の付け方と書き下し文の組み合わせとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。解答番号は[33]。
然るに、
(02)
漢語文法の基礎となっている文法的な関係として、次の四つの関係をあげることができる。
(一)主述関係  主語 ― 述語
(二)修飾関係 修飾語 ― 被修飾語
(三)補足関係 叙述語 ― 補足関係
(四)並列関係 並列語 ― 並列語
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、281~283頁改)
(03)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)
従って、
(04)
目的語と補語とは、それほど区別する必要がないので、両方併せて、補足語と呼んだり補語と呼んだりしている。
(数研出版、基礎からの漢文、1982年、26頁)
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
「返り点」が付くのは「述語+補語」であって、「述語+補語」以外に、「返り点」は付かない。
(06)
其書 自体は、
其書=修飾語+被修飾語
である。
然るに、
(07)
其書在机上=THE BOOK IS ON THE DESK.
であれば、
其書=THE BOOK
は、「主語」である。
(08)
我見其書=I SEE THE BOOK.
であれば、
其書=THE BOOK
は、「補語」である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
我見其書在机上=我其の書の机上に在るを見る。
であれば、
我 =主語
其書=主語
である。
従って、
(09)により、
(10)
我見其書在机上=我其の書の机上に在るを見る。
ではなく、
_見其書在机上=_其の書の机上に在るを見る。
であれば、
其書=主語
であるが、
見 の「主語」は、省略されてゐる。
然るに、
(11)
「文脈」からすらば、
荷字哀其身不能一日事乎母也。
であるため、
__哀其身不能一日事乎母也。
に於いて、
哀 の「主語(荷字)」は、省略されてゐる。
然るに、
(12)
哀其身不能一日事乎母也。
に於いて、
其身=主語
一日=修飾語(副詞)
乎 =前置詞(格助詞)
母 =名詞
也 =断定
は、「述語」にはなり得ない。
従って、
(13)
哀其身不能一日事乎母也。
に於いて、「述語」に成り得る語を、取り出すと、
哀=動詞
不=否定
能=助動詞
事=動詞
の四つが、それである。
然るに、
(14)
事 =動詞 の「補語」は、明らかに、「乎母」である。
(15)
一日=修飾語(副詞)
であるため、
能 =助動詞 の「補語」は、明らかに、「一日事乎母」である。
(16)
不 =否定 の「補語」は、明らかに、「能一日事乎母」である。
然るに、
(17)
其身 は、「能一日事乎母」の、主語 であるため、
哀 =動詞 の「補語」は、明らかに、「其身不能一日事乎母」である。
従って、
(14)~(17)により、
(18)
に対する、「補足語」は、
其身不能一日事乎母
  不能一日事乎母
    一日事乎母
       乎母
である。
従って、
(18)により、
(19)
哀{其身不能一日事乎母}
    不[能一日事乎母]
      能〔一日事乎母〕
          事(乎母)
とすれば、これらの四つは、
哀其身不能一日事乎母也。
といふ「漢文」に於ける、「補足構造」を、表してゐる。
従って、
(19)により、
(20)
哀其身不能一日事乎母也。
に於ける、「補足構造」は、
哀{其身不[能〔一日事(乎母)〕]}也。
である。
然るに、
(03)により、
(21)
漢文と、国語では、「補足構造」に於ける「語順が逆」になる。
従って、
(20)(21)により、
(22)
哀其身不能一日事乎母也=
哀{其身不[能〔一日事(乎母)〕]}也。
に於いて、
哀{ }⇒{ }哀
不[ ]⇒〔 〕不
能〔 〕⇒〔 〕能
事( )⇒( )事
といふ「倒置」を行ふと、
哀{其身不[能〔一日事(乎母)〕]}也⇒
{其身[〔一日(乎母)事〕能]不}哀也=
{其の身の[〔一日として(母に)事ふる〕能は]不るを}哀しむなり。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(23)
哀其身不能
といふ「漢文訓読」が、成立する。
然るに、
(24)
「一字だけ上の漢字」に返る場合は、「レ点」を用ゐ、
「二字より上の漢字」に返る場合は、「一二点」等を用ゐる。
従って、
(23)(24)により、
(25)
哀其身不能2
従って、
(25)により、
(26)
哀其身不能3
従って、
(26)により、
(27)
問4 傍線部A「哀其身不能一日事乎母也」の返り点の付け方と書き下し文の組み合わせとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。解答番号は[33]。
の「答へ」は、④であり、「新聞の答へ」も、④である。
然るに、
(05)(13)を、
(28)
もう一度、確認すると、
哀其身不能一日事乎母也。
に於いて、「述語」に成り得る語を、取り出すと、
哀=動詞
不=否定
能=助動詞
事=動詞
の四つが、それであって、尚且つ、「述語+補語」以外に、「返り点」は付かない。
従って、
(28)により、
(29)
哀其身不能一日事乎母也。
に於いて、「述語」に成り得る語を、取り出すと、
哀=動詞
不=否定
能=助動詞
事=動詞
の四つが、それである。といふことが、分るやうにならなければ、
哀其身不能一日事乎母也。
といふ「白文」を、「訓読」することは、出来ない。
従って、
(30)
「白文」を「訓読」出来るやうになるためには、「どのやうな場合」に、「どのやうな漢字」が、「述語」になるのか。
といふことに、気を付けながら、「漢文」を学んで行く、必要が有る。
平成28年01月19日、毛利太。
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