「不敢仰視」に「括弧」は有ります! - 返り点に対する「括弧」の用法について提案

「不敢仰視」に「括弧」は有ります!

(01)
10 蘇秦之昆弟妻嫂、側目不敢仰視。(史記、蘇秦列伝)蘇秦の兄弟や妻や兄嫁は、目をそらして、顔を上げてはっきり見るだけの勇気がなかった(西田太一郎、漢文の語法、1980年、321頁)。
(02)
蘇秦の昆弟妻嫂の場合、蘇秦を仰視することは勇気がいることだから「敢仰視」は「勇気を出して仰視」することで、「不敢仰視」はそれを否定している(西田太一郎、漢文の語法、1980年、326頁)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「敢仰視」=「勇気を出して仰視」=「それ」
である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「不敢仰視」は 「それ」 を「否定」している。
といふことは、
「不敢仰視」は「敢仰視」を「否定」している。
といふ、「意味」である。
然るに、
(05)
敢仰視」から「」を除くと、
_敢仰視」である。
従って、
(05)により、
(06)
敢仰視」は「敢仰視」を「否定」している。
といふことは、
」が「敢仰視」を「否定」している。
といふことに、他ならない。
然るに、
(07)
任意の表述の否定は、その表述を’( )’という空所にいれて書くことにしよう(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)。
然るに、
(08)
この場合、「漢文」の「」は、「論理学」の「」である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
(敢仰視)=(敢仰視)。
である。
従って、
(01)~(09)により、
(10)
西田先生に従ひ、尚且つ、クワイン先生に従ふ限り、
① 不敢仰視。
といふ「漢文」は、
① 不(敢仰視)。
といふ風に、書かなければならない。
然るに、
(11)
さてたとえば10の「不敢仰視」についていうと、漢文の原則として上の字は下の字のみ影響するから、「」は、「仰視」の字にのみ影響する(西田太一郎、漢文の語法、1980年、326頁)。
然るに、
(12)
」は、「仰視」の字にのみ影響する。
といふことは、
」の「意味」が「仰視」の「二字」に及んでゐる
といふ風に、とらへることが、出来る。
然るに、
(13)
 括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)。
従って、
(12)(13)により、
(14)
② 敢仰視。
といふ「漢文」に於いて、
 の「意味」が、
仰視 の「二字」に及んでゐる
のであれば、
② 敢仰視。
といふ「漢文」は、
仰視)。
といふ風に、書けることになる。
然るに、
(15)
① 不(敢仰視)
②   敢(仰視)。
であるならば、
①+②=
③ 不(敢(仰視))。
である。
然るに、
(16)
③ 不(敢(仰視))=
③ 不〔敢(仰視)〕。
である。
従って、
(10)~(16)により、
(17)
西田先生、クワイン先生、今仁先生の、三人に従ふ限り
① 不敢仰視。
といふ「漢文」は、
③ 不〔敢(仰視)〕。
といふ風に、書くことになる。
従って、
(17)により、
(18)
③ 不〔敢(仰視)〕。
である以上、少なくとも、
① 不敢仰視。
といふ「漢文」に、「括弧」は有ります!
然るに、
(19)
フ 不 ず いなヤ[助動詞]ず《動作や状態を否定する》
(天野成之、漢文基本語辞典、1999年、293頁)
(20)
カ 可 べシ きク かナリ ばかり[助動詞]べシ
(天野成之、漢文基本語辞典、1999年、293頁)
従って、
(19)(20)により、
(21)
(仰視)〕。
に於いて、
④ 不 は「助動詞」。
④ 可 も「助動詞」。
である。
然るに、
(22)
漢文としては助動詞であると思われるけれども、訓読ではアヘテと読み、動詞から変化した副詞のように使われる(西田太一郎、漢文の語法、1980年、326頁)。

従って、
(21)(22)により、
(23)
(仰視)〕。
に於いて、
③ 不 は「助動詞」。
③ 敢 も「助動詞」。
である。
然るに、
(24)
④ 不可仰視=
④ 不〔可(仰視)〕⇒
④ 〔(仰視)可〕不=
④ 〔(仰視す)べから〕ず=
④ 仰視することが出来ない
である。
従って、
(01)(23)(24)により、
(25)
③ 不敢仰視=
③ 不〔敢(仰視)〕⇒
③ 〔(仰視)敢〕不=
③ 〔(仰視すること)敢へてせ〕ず=
③ (勇気がなくて)仰視することが出来ない
といふ「訓読」が、成立する。
平成29年01月30日、毛利太。
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