「教育勅語」に於ける「文法違反」。 - 返り点に対する「括弧」の用法について提案

「教育勅語」に於ける「文法違反」。

 (01)
「元旦」の「旦」がさうであるやうに、「旦」は、「朝」である。
従って、
(02)
「一旦」は、「一朝」であって、
「一朝」は、「一旦」である。
然るに、
(03)
【一朝】③ 事件などがおこることを仮定するときのことば。いったん
(学研、漢和大辞典、1978年、4頁)
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 一旦緩急あらば、・・・・・。
に於いて、
① 一旦
といふ「仮定するときのことば」は、
①「仮に、もしも、If」等に、相当する。
然るに、
(05)
未然 連用 終止 連体 已然 命令
 あり あり ある  あれ
である。
従って、
(05)により、
(06)
① 緩急あら(未然形)ば、
② 緩急あれ(已然形)ば、
である。
然るに、
(07)
【9】[ば](未然形に付く場合、已然形に付く場合、の二通りがある。)
① 未然形に付き、順接の仮定条件を示す。
② 已然形に付き、順接の確定条件を示す。そして次の三つ用法がある。
(1)原因・理由を示す。
(2)偶然条件を示す。
(3)恒常条件を示す。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、167頁改)
従って、
(04)~(07)により、
(08)
① 一旦(仮に)緩急あ未然形)ば、
② 一旦(仮に)緩急あ已然形)ば、
に於いて、「古典文法」として「正しい」のは、
① であって、
② ではない。
従って、
(08)により、
(09)
「漢文訓読」に於いても、原則として、「平安中古文法(古典文法)」に「準拠」すべきである。とするならば、
② 一旦(仮に)緩急あれ(已然形)ば、
といふ「言ひ方」は、マチガイである。
然るに、
(10)
かてい‐けい【仮定形】 の意味
出典:デジタル大辞泉
口語の活用形の一。用言、助動詞の第五活用形。接続助詞「ば」を伴って順接仮定の条件を示す。「行けば」「書けば」などの「行け」「書け」の類。文語の已然形が、その機能を変えて、主として仮定表現に用いられるようになったところからついた名称。文語では、この働きは未然形が有する。
然るに、
(11)
『週刊文春』(3月30日号)ではジャーナリストの池上彰さんが、文法の間違いがあるとの指摘も紹介しておくと断った上で、「もしも国家に危機があるとするならば」の意では〈「あり」の未然形+ば〉の「あらば」が当時の文法では正しく、「一旦緩急あれば」では「危機は必ず来るから、そのときには」の意になってしまい、誤用である-と書いていた。反論したのが大阪大名誉教授の加地伸行さんである。月刊誌『WiLL』(6月号)で、まこと懇切丁寧に「あれば」の正当性を主張した。全文を引けないのは残念だが、概略を以下に示したい。古文の立場からは、助詞「ば」には3種のつながり方がある。(1)「あらば」(未然形+ば)は「もし~であるならば」(仮定)を表す。(2)「あれば」(已然(いぜん)形+ば)は「~ので」(理由)や「~したところ」(契機)を表す。(3)「あれば」(已然形+ば)は(2)の意味のほかにも、「或(あ)ることが有ると、いつでもそれに伴って後(あと)のことが起こる」という〈一般条件〉を表す。「一旦緩急あれば…」も「国民として、危急が起きたときには当然、戦う」の意だから(3)に相当し、文法として正しい。 漢文の立場からも加地さんは、漢文訓読では例えば「行いて余力あらば~」と未然形で訓(よ)んでもいいが、一般的には、未然形相当のときに已然形で訓む慣行がある-と言及している。
(産経ニュース、【国語逍遥】2017.6.28 10:01)
従って、
(10)(11)により、
(12)
池上彰さんは、「(学校で習ふ)古典文法」に従ふ限り、
② 一旦(仮に)緩急あれ(已然形)ば、
は、マチガイであるとし、
加地伸行さんは、「口語文法」に従ふ限り、
② 一旦(仮に)緩急あれ(已然形)ば、
は、マチガイではない。
といふ風に、述べてゐる。
平成29年08月12日、毛利太。
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