「(ある参考書の)誤訳」について。 - 返り点に対する「括弧」の用法について提案
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「(ある参考書の)誤訳」について。

(01)
① 欲為姉煮粥=
① 欲〔数為(姉)煮(粥)〕⇒
① 〔数(姉)為(粥)煮〕欲=
① 〔数々(姉の)為に(粥を)煮んと〕欲す=
① しばしば姉のために粥を煮てあげようと思った(小学)。
然るに、
(02)
① 欲〔為(姉)煮(粥)〕。
であれば、
① 数=しばしば
といふ「副詞」は、
① 欲=Want
ではなく、
①「名詞節」の中の、
① 為姉
といふ「副詞句」を「修飾」してゐる。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 欲〔為(姉)煮(粥)〕。
であれば、
① しばしば姉のために粥を煮てあげようと思った(小学)。
に於ける、
①「欲す」の「回数」は、「数回」ではなく、「回」である。
然るに、
(04)
欲為姉煮粥=
② 数欲〔為(姉)煮(粥)〕⇒
② 数〔(姉)為(粥)煮〕欲=
② 数々〔(姉の)為に(粥を)煮んと〕欲す=
② しばしば姉のために粥を煮てあげようと思った(作例)。
然るに、
(05)
② 数欲〔為(姉)煮(粥)〕。
の場合は、
② 数=しばしば
といふ「副詞」は、
② 欲=Want
といふ「他動詞」を「修飾」してゐる。
従って、
(04)(05)により、
(06)
② 数欲〔為(姉)煮(粥)〕。
であれば、
② しばしば姉のために粥を煮てあげようと思った(作例)。
に於ける、
②「欲す」の「回数」は、「一回」ではなく、「回」である。
従って、
(03)(06)により、
(07)
① 欲〔為(姉)煮(粥)〕。
欲〔為(姉)煮(粥)〕。
といふ「漢文」に対する、
① しばしば姉の為に粥を煮んと欲す。
② しばしば姉の為に粥を煮んと欲す。
といふ「訓読」からは、
①「欲す」の「回数」が、「回」なのか、
②「欲す」の「回数」が、「回」なのが、「分からない」。
従って、
(07)により、
(08)
④ 請(出自致)。
請(出自致)。
といふ「漢文」に対する、
に対する、
③ しばしば出でて自ら致さんことを請ふ。
④ しばしば出でて自ら致さんことを請ふ。
といふ「訓読」からも、
③「請ふ」の「回数」が、「回」なのか、
④「請ふ」の「回数」が、「回」なのかが、「分からない」。
然るに、
(09)
(A)常不油 (全部否定)
(B)不常得一レ油(部分否定)
この例は次のように下から返読してその意味をはっきりさせることができる。
(A)常油(油ヲ得ザルコト常ナリ)
(B)不油(油ヲ得ルコト常ナラズ)
(原田種成、私の漢文講義、1995年、156頁)
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
② 数欲〔為(姉)煮(粥)〕。
④ 数請(出自致)。
であれば、
② 数[欲〔為(姉)煮(粥)〕]。
④ 数〔請(出自致)〕。
とすることによって、
② 姉の為に粥を煮んと、欲すること、しばしばなり
④ 出でて自ら致さんと、請ふこと、 しばしばなり
といふ風に、「読む」ことが出来る。
従って、
(08)(10)により、
(11)
③ 請(数出自致)。
④ 数〔請(出自致)〕。
に対する「訓読」は、
しばしば出でて自ら致さんことを請ふ。
④ 出でて自ら致さんと、請ふことしばしばなり
である。
然るに、
(12)
⑤ 数出請自致=
⑤ 数出請(自致)⇒
⑤ 数出(自致)請=
⑤ しばしば出でて(自ら致さんと)請ふ。
従って、
(11)(12)により、
(13)
③ 請(数出自致)。
④ 数〔請(出自致)〕。
⑤ 数出請(自致)。
に対する「訓読」は、
③(しばしば出でて自ら致さんこと)を請ふ。
④(出でて自ら致さん)と請ふことしばしばなり
しばしば出でて(自ら致さん)と請ふ。
である。
従って、
(13)により、
(14)
③ 請(数出自致)。
④ 数〔請(出自致)〕。
⑤ 数出請(自致)。
対する「口語」は、
③(何度でも外に出て自分でやりたい)と頼んだ。
④(外に出て自分でやりたい)と、何度頼んだ。
⑤ 何度外に出て、(自分でやりたい)と頼んだ。
といふ、ことになる。
然るに、
(15)
③(何度でも外に出て自分でやりたい)と頼んだ。
④(外に出て自分でやりたい)と、何度頼んだ。
と言ふ、のであれば、
③「その時点で、一度も外に出てはゐない。」としても、「矛盾」はしないし、
④「その時点で、一度も外に出てはゐない。」としても、「矛盾」はしない。
然るに、
(16)
何度も、(外に出て自分でやりたい)と頼んだ。
と言ふ、のであれば、この場合も、
⑥「その時点で、一度も外に出てはゐない。」としても、「矛盾」はしない。
然るに、
(17)
何度も、(外に出て自分でやりたい)と頼んだ。
と言ふ、のではなく、
何度も外に出て、(自分でやりたい)と頼んだ。
と言ふ、のであれば、
⑤「その時点で、何度も外に出て頼んではゐる。」といふ、ことになる。
従って、
(14)~(17)により、
(18)
⑤ 数出請(自致)。
といふ「漢文」は、
⑤ 何度も外に出て、(自分でやりたい)と頼んだ。
といふ「意味」であって、
⑥ 何度も、(外に出て自分でやりたい)と頼んだ。
といふ「意味」ではない
然るに、
(19)
何度も、(外に出て自分でやりたい)と頼んだ。
であれば、
④ (外に出て自分でやりたい)と、何度も頼んだ。
といふことと、「同じ」である。
従って、
(14)(18)(19)により、
(20)
④ 数〔請(出自致)〕。
⑤ 数出請(自致)。
に対する「口語」は、それぞれ、
何度も、(外に出て自分でやりたい)と頼んだ。
何度も外に出て、(自分でやりたい)と頼んだ。
といふ、ことになる。
従って、
(20)により、
(21)
④ 数請出自致。
⑤ 数出請自致。
に対する「和訳」は、それぞれ、
何度も、外に出て自分でやりたいと頼んだ。
何度も外に出て、自分でやりたいと頼んだ。
といふ、ことになる。
従って、
(22)
④ 数請出自致、輒不許(宋史列伝)。
に対する「和訳」は、
何度も、外に出て自分でやりたいと頼んだが、そのたびごとに許さなかった。
であって、
何度も外に出て、自分でやりたいと頼んだが、そのたびごとに許さなかった。
ではない。
然るに、
(23)
[訳]何度も外に出て自分でやりたいと頼んだが、そのたびごとに許さなかった(教学社、風呂で覚える漢文、1998年、97頁)。
従って、
(22)(23)により、
(24)
[訳]何度も外に出て自分でやりたいと頼んだが、
ではなく
[訳]何度も外に出て、自分でやりたいと頼んだが、
ではなく
[訳]何度も、外に出て自分でやりたいと頼んだが、
でなければ、ならない。
cf.
キンタマケルナ。キンタマ、ケルナ。キンケルナ(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、80頁)。
平成29年11月09日、毛利太。
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